賃貸不動産経営初心者が中古区分マンションファミリータイプのオーナーチェンジ物件を選ぶべき理由

賃貸経営の基礎

オーナーチェンジ物件を選ぶメリット:安定した家賃収入の確保

初めて賃貸不動産経営に挑戦する際には、多くの選択肢がありますが、特におすすめしたいのが「中古の50㎡以上の区分マンションファミリータイプのオーナーチェンジ物件」です。このタイプの物件は、他の物件に比べて投資リスクを低減できるため、初心者にとって非常に有利な選択肢となります。

まず、オーナーチェンジ物件とは、すでに賃貸契約が結ばれている物件のことです。すなわち、物件を購入する時点で賃借人が居住しており、引き渡し後すぐに家賃収入を得ることが可能です。これは、空室リスクがないという点で非常に大きなメリットとなります。新築ワンルームマンションの場合、引き渡し時にはまだ賃借人がいないため、入居者を見つけるまでの期間が空室となり、家賃収入が発生しない期間が生じるリスクがあります。また、入居者がすぐに見つからない場合、ローン返済を開始しているにもかかわらず、家賃収入がないという状況に陥り、キャッシュフローに大きな影響を与える可能性があります。

実際、新築ワンルームマンションで家賃収入がいつから発生するのか分からないケースも珍しくありません。物件の引き渡しが賃貸需要の少ない時期に行われた場合、数か月にわたって空室が続くこともあります。さらに、空室期間中であっても管理費や修繕積立金は定期的に発生します。これらの費用は、家賃収入がない場合でも自己資金から支払わなければならないため、特に初心者の投資家にとって大きな負担となります。

一方で、オーナーチェンジ物件では、購入後すぐに家賃収入が発生します。賃借人がすでに居住しているため、空室リスクがなく、安定したキャッシュフローを得ることができます。これは、特に初めての不動産投資において、リスクを抑えつつ経営を安定させるための強力な手段となります。

 


ファミリータイプ物件の安定性と出口戦略の柔軟性

次に、なぜファミリータイプの物件が有利なのかを説明しましょう。近年、都市部における家族向け住宅の需要はますます高まっています。都市部の家族層は、特に広めの間取りを求める傾向があり、ファミリータイプの物件はそのニーズに合致しています。一方、単身者向けのワンルームマンションは、入居者のライフスタイルが変わるたびに退去の可能性が高く、空室リスクが大きいという特徴があります。たとえば、結婚や転職などのライフイベントによって、単身者が退去することがよくあります。このため、ワンルームマンションは、ファミリータイプの物件に比べて短期間で入居者が変わるリスクが高く、空室リスクが高まるのです。

一方、ファミリータイプの物件は、家族で長期にわたって住むことが期待でき、転居の頻度が少ないため、空室リスクが低減されます。家族向け物件は、一般的に入居者が長期間住み続けることが多いため、安定した収入を得ることができます。例えば、都市部の駅近くにある広めのファミリータイプの物件では、子育て世帯が入居し、長期にわたって住み続けることが多く、経営も安定しやすい傾向があります。

さらに、ファミリータイプの物件は売却時の出口戦略においても非常に柔軟です。ワンルームマンションは基本的に投資家向けに売却することが主流ですが、ファミリータイプの物件は、実需層(自ら住むために購入する人々)にも売却できる点が大きな強みです。実需層としては、子育て世帯やリタイア後の夫婦などが対象となり、特に郊外の静かなエリアにある物件は、こうした層にとって非常に魅力的です。投資家だけでなく実需層にも売却できることで、売却の選択肢が増え、売却時の価格が安定しやすくなるというメリットがあります。

加えて、住宅ローンを利用して購入する実需層にとって、ファミリータイプの面積要件は非常に重要です。日本では、住宅ローンを利用して購入する場合、一般的に登記簿に記載された面積(内法)で50㎡以上の物件であることが必要とされています。この面積基準を満たしていない物件は、住宅ローンを利用することができないため、ファミリータイプの物件を選ぶ際には、登記簿上の面積が50㎡以上であることを必ず確認する必要があります。

※内法は、壁の表面で囲まれた床面積を言います。日常生活で意識する空間は内法です。壁芯は、壁の中心で囲んだ床面積を言います。壁芯で計算した床面積は、壁の中を含んだ面積なので、日常生活では使用不可の部分を含んでいます。マンションのパンフレット等で書かれた面積は壁芯である為、表示された面積が想像より狭く感じるのです。

 

事例紹介とオーナーチェンジ物件の注意点

ここで、実際の事例を紹介します。ある投資家が、新築ワンルームマンションと中古ファミリータイプのオーナーチェンジ物件のどちらに投資すべきかを迷っていました。彼は長期的な安定収入を重視し、最終的にファミリータイプのオーナーチェンジ物件を選びました。その結果、購入直後から家賃収入が発生し、空室リスクに悩むことなく安定した収益を確保することができました。さらに、家族向けの需要が高いエリアだったため、物件は入居者が長期間住み続け、経営は順調に進みました。

一方で、別の投資家が新築ワンルームマンションに投資しましたが、最初の数ヶ月間は空室が続き、家賃収入が得られない状況が続きました。そのため、その期間中はローン返済を自己資金から捻出しなければならず、経営が苦しい状態に陥りました。この事例からも分かるように、ファミリータイプのオーナーチェンジ物件は、購入後すぐに家賃収入が確保できる点が非常に大きな利点であり、特に初心者の投資家にとって安定した収益源となります。

ただし、オーナーチェンジ物件には注意点もあります。すでに存在する賃貸契約が新しいオーナーに引き継がれるため、その契約内容や賃貸条件をよく確認することが非常に重要です。特に、賃料が周辺の相場に比べて低い場合で入居者が長期間退去しない場合は、収益性が低下するリスクがあります。さらに、賃借人がサブリース業者を通じて物件を借りている場合、実際に住んでいるのが転借人であるケースもあります。サブリース契約には注意が必要であり、契約内容をしっかりと確認しないと、予期せぬリスクが発生することがあります。

※サブリース業者は、借地借家法上の借主となり、保護の対象となります。それ故、貸主からの賃貸借契約解除はハードルが高いです。貸主からの一方的都合による賃貸借契約解除は不可能とお考え下さい。

賃貸不動産経営を成功させるためには、安定したキャッシュフローの確保が何よりも重要です。オーナーチェンジ物件は、すぐに収入を得る手段として非常に有効であり、特にファミリータイプの物件は賃貸経営の安定性を高める手段となります。加えて、将来的な売却時にも実需層に売却できる柔軟性があるため、出口戦略においても有利です。

次のステップとして、具体的な物件選定やエリアの需要調査を進めてみてください。自身の投資スタイルに合った物件を見つけることで、長期的な安定収益を実現できるはずです。賃貸不動産経営は短期的な利益を追求するものではなく、長期的な視点での安定経営が成功の鍵となります。適切な物件を選び、計画的な投資を進めることで、賃貸不動産経営の成功を手にすることができるでしょう。