サブリースをやめたほうが良いと言われる理由とは?

賃貸経営の基礎

 

サブリース契約とは、不動産オーナーがサブリース会社に物件を一括して貸し出し、サブリース会社がその物件を第三者に転貸する仕組みです。サブリース会社はオーナーに対し、固定の家賃を支払い続けることを約束しますが、この契約にはさまざまなリスクが伴います。安定した収入が期待できるように見える一方で、実際には多くの不確定要素が存在し、これが「サブリースをやめたほうが良い」と言われる理由です。以下、ビジネスモデルを踏まえ、サブリースの何が問題なのかを説明していきます。

サブリース業者のビジネスモデル

サブリース業者は一見、家賃保証を通じてオーナーに安定した収入を提供しているように見えますが、彼らは慈善事業を行っているわけではなく、収益を上げるビジネスモデルに基づいています。主な収益源は、オーナーに支払う家賃保証額と、実際に転貸する賃借人から得られる家賃との差額です。サブリース会社はこの差額を利用して利益を得ていますが、空室が増えたり賃料相場が下落すると、家賃保証の減額や契約条件の変更を迫られる可能性があります。


家賃保証の問題と借地借家法に基づく家賃見直しの権利

サブリース契約のメリットとして「家賃保証」が強調されますが、この「保証」はしばしば誤解されがちです。サブリース会社は、借地借家法第32条に基づき、家賃を市場の変動に応じて減額請求する権利を持っています。このため、オーナーが期待した家賃保証額が、後々減額されるリスクがあります。もっとも、請求があったからと言って一方的に減額されるわけではないのですが、こじれると訴訟で解決することとなります。いずれにしても、経済状況の変化や周辺の賃料相場の変動を理由に、サブリース会社は家賃の減額を要求できるため、オーナーにとっては予期せぬ収入減少に直面する可能性があります。


契約解除の難しさと借地借家法の影響

サブリース契約を解除するのはオーナーにとって非常に難しいことが多いです。特にサブリース会社は借地借家法第27条に基づき、賃借人としての強い法的保護を受けています。このため、たとえ家賃保証が減額されたり、物件管理が不十分であっても、オーナーが契約解除を望んでも法的に難しい場合があります。契約には違約金やペナルティも発生するため、オーナーは多くの制約を受けることになります。


サブリース契約に関する具体的なトラブル事例

サブリース契約では、会社の経営上の問題や家賃保証の減額がしばしばトラブルの原因となります。以下は、サブリース契約に関連した具体的な事例です:

  • 〇〇21:建物の施工不備が発覚し、これに伴って多くの物件で家賃保証が停止または減額され、オーナーに多大な負担がかかりました。家賃保証の停止や物件の修繕が必要となり、オーナーにとって予期せぬコストが発生しました。
  • 〇〇ライフ:2018年、サブリース契約を提供していた〇〇ライフが経営破綻し、多くのオーナーが家賃保証の停止に直面しました。倒産により被害総額は数億円に上り、多くのオーナーが収益源を失いました。

これらの事例は、サブリース契約が経営上の問題や市場の変動により、オーナーに多大なリスクをもたらすことを示しています。


サブリース業者との契約が脅威となる場合

サブリース業者との契約は、家賃保証の提供により一見安定的に見えますが、空室が増えたり、賃料相場が下落した場合、オーナーにとって脅威となることがあります。サブリース会社は収益確保のため、家賃保証の減額を求めたり、契約条件を変更する場合があり、結果、オーナーの利益が損なわれるのです。


よくあるサブリース問題の典型例

投資家A氏は都市部にアパートを購入し、大手サブリース会社と契約しました。当初は高い家賃保証を受け取り、安定した収入を期待していましたが、数年後に周辺の賃料相場が下落するとサブリース会社から家賃保証の大幅な減額が求められました。A氏はこれに納得できず、契約解除を試みましたが、違約金の問題があり解除は困難でした。結果として、A氏はサブリース契約に依存しすぎたことで、収益の減少と管理の煩雑さに直面することになりました。


まとめ:競争力のある収益物件を所有し、サブリースに依存しない

サブリース契約は、一見すると安定した収入を提供する魅力的な仕組みに見えますが、リスクも多く存在します。特に、空室が続いたり、賃料相場が下落した場合、サブリース会社は家賃保証の減額を要求することがあります。しかし、そもそも競争力のある立地にある物件であれば、客付けに困ることは少なく、サブリースを使う必要もありません。安定した収益を得るためには、立地の良い物件を慎重に選び、自らの管理で運用することが最もリスクを避ける手段となります。サブリース業者は慈善事業を行っているわけではない、という事を認識すれば、サブリース契約をする理由が見いだせないことをご理解いただけると思います。