マレーシアは、一般財団法人 ロングステイ財団が調査する「ロングステイ希望国・地域」において、2006年以来1位を維持しています。観光目的で渡航される方も少なくありません。東京と同じように洗練されたクアラルンプール、自然豊かなボルネオ島など、魅力的な観光地がたくさんあります。マレーシアに魅了されて頻回渡航する方であれば、現地に銀行口座があったら便利かも?とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。今回は、マレーシアの非居住者向けに、HSBC でのプレミア口座開設についてご説明いたします。
銀行口座開設に際して認識すべきハードル
日本のパスポートを持っている皆さんは、マレーシアに90日間滞在することができます。しかし、現在、マレーシアのビザを持たない外国人が銀行口座開設をすることができません。ですから、観光でのマレーシア渡航や、90日以内のプチ移住でマレーシアに滞在している方は、銀行口座を開設することはできません。
HSBC Malaysiaとは何?
HSBCと言っても、多くの日本人にはなじみがないかもしれません。あるいは、知っていたとしても、香港の銀行と認識されているかもしれませんね。まずは、HSBCについて説明します。HSBC(HSBC Holdings plc)は、ロンドンに本社を置く、世界最大級のメガバンクです。1865年に香港で創設された香港上海銀行(The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)を母体として1991年に設立されています。それ故、香港の銀行というイメージが強いのですが、世界各地に存在します。以前は、日本でも、個人向けの業務を行っていましたが、現在は法人向け営業のみを行っています。HSBC Malaysiaの歴史は、1884年まで遡ることができる、マレーシアにおいて最古の外資系銀行です。マレーシア国内に約40店舗を展開しています。
HSBC Premier口座開設には、最低預金額が200,000リンギット(RM1は、約¥25~26)以上が求められます。銀行とは、マレー語、または、英語でのやり取りとなります。従って、英語での意思疎通ができない方は、仮に口座開設できたとしても、後々、ご苦労されることと思います。
マレーシアでHSBC Premier口座をもつメリットとは?
HSBCは、マレーシアを含めた複数の国で口座開設をする方にとっては、第一候補となるかと思います。HSBC Premierの世界共通のサービスとして、Global View / Global Transfersという機能が挙げられます。Global Viewは、ご自身がお持ちのHSBC Permier口座残高を一覧で閲覧することができる機能です。あなたが、複数の国で、HSBCプレミア口座を開設している場合、ワンクリックで全口座の残高を見ることができます。
Global Transfersは、ご自身の口座間で資金移動する機能です。あなたが複数の国で、HSBCプレミア口座をお持ちの場合、ワンクリックで別の国の口座に移動することができます。日本から海外送金をする際の手続きは、各種の書類を要求されることがあります。しかし、Global Tansfersは、そのような手間はありません。HSBCが店舗展開する複数の国に出張する機会のあるビジネスマンにとっては、とても便利な機能ですね。
海外での口座開設がマレーシアのみの場合は、May bank, CIMB Bank, Public Bank等、HSBC以外の銀行も併せて、検討いただくことをお勧めします。金利や店舗数、ATM数で、HSBCは他行に見劣りすることがあります。
HSBC Penang Branch
写真出典:Google maps
クレジットカードも申し込める
異国の地でクレジットカードを持つことは至難の業です。日本で高いクレジットヒストリ―を持っていたとしても、マレーシアでのクレジットヒストリーがなければ、通常は作れません。しかし、HSBCプレミア口座を開設できる人であれば、クレジットカードも持つことができる可能性があります。このカードはHSBCプレミア口座を持つ人専用のカードです。
日本で発行されたクレジットカードを海外で使用すると、為替手数料等として、2%前後の費用が上乗せされて請求されます。しかし、マレーシアリンギット建ての決済について、このクレジットカードを使用する場合、為替手数料がかからない、というメリットがあります。年会費は掛かりません。
Master Card Contactlesss機能:クレジットカードの使用時に、カードリーダーにタッチするだけで決済できる。マレーシアでのクレジット決済は、多くの場合、Contactless機能で支払いが完了します。2024年には日本でも随分コンタクトレス機能が普及してきましたが、マレーシアでの普及は日本よりも早かったです。
HSBC Premier Account の開設申し込み手順
口座開設を希望する場合、まずは、訪問したい支店に連絡して予約をしましょう。いきなり支店に行っても、担当者不在など、残念な結果に終わることがあります。日本の銀行と異なり、海外の銀行では、予約をして店舗訪問することが多いです。
口座開設の予約をすると、当日までに用意する資料が伝えられます。人によって指示される書面は異なる可能性がありますが、概ねこのような書面が必要とお考え下さい。HSBC Premier口座開設に際して、国によって要求される書面は異なります。
1) Account Opening Form/ 口座開設申し込み書
2) Passport、and Visa / パスポートおよびビザ ※MM2Hをこれから取得する人は、Visaに代わってApproval letterを用意
3) Proof of Residential Address (example, front and back copy of Drivers license, latest Bank Statement or Utility bill.) / 住所を証明する書類 (例:運転免許証、直近の銀行取引明細、光熱費請求書)
4) Latest 3 months bank statements / 直近、3か月の銀行取引明細
5) For employed : Proof of Income (latest Income Tax form / latest 3 months pay slip / Valid Employment Contract / latest 3 months bank statement where salary is credited) / 雇用されている場合:収入証明書(最新の所得税申告書/最新の給与明細書/有効な雇用契約書/給与が入金されている直近3ヶ月分の銀行取引明細書
6) For self-employed : proof of business ownership and latest 3 months business banking statements and latest company income tax statements / 自営業の場合:事業所の所有者であることを証明するものと、直近3ヶ月分の銀行取引明細書、直近の会社の所得税明細書
7) Business card (if any) / 名刺 (もしあれば)
これらの書類の準備指示が無くても、持っていくと無難です。何かの説明を求められた際に、すぐに提示できれば、手続きがスムーズに進みます。申し込み後口座開設までに審査に数日を要することがあります。
上記に追加して、マイナンバーカードが要求される可能性が高いです。昨今、マネーロンダリング防止の為、多くの銀行では、口座開設に際してマイナンバーカードの提示が求められています。それ故、日本国外に居住の日本人が、海外で口座開設する際に、問題が生じる場合があります。
私、海外駐在がながくマイナンバーが作れていません。海外公館などに登録した人にマイナンバーをつける事はできないんですかね?まずそれをしてもらわないと、海外の日本人は銀行口座も…免許証も…どうなるか不安だと思いますよ。
— Raqia (@jpat_t) October 18, 2020
日本のHSBCでマレーシアの口座を開くことはできますか?
日本にもHSBCはあります。しかし、法人向けに特化しているため、個人向けの業務は行っていません。また、海外のHSBCへの紹介業務も行っていません。各国のHSBCに直接、口座申し込みをすることとなります。
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