インターネット取引が盛んになり、最近では個人でも海外送金に対するニーズが増えてきました。一方で、海外送金自体がまだ一般的ではなく、広く情報が行き渡っているとは言えません。それ故、著しく高い手数料や、大変面倒な方法で送金している人も少なからずいらっしゃる様です。本記事では、私の体験や調査の結果を踏まえて、海外送金方法やサービスについてまとめてみました。
送金先や送金額によって送金手段をかえましょう
「海外送金」というキーワードでネット検索を掛けると各社の海外送金サービスが表示されます。あまりに多すぎて、ひとつづづ調べるのも面倒ですね。また、料金体系が非常に分かりにくい、というのも海外送金方法の比較を困難にする要素です。海外送金に掛かる手数料は、以下のような項目が挙げられます。また、このような手数料がある為、受け手の受取金額を、受け手の指定する額と一致させるのが難しいのです。
海外送金手数料
この手数料は、比較的分かりやすい手数料です。各社共に、明瞭な定義をしています。例えば、セブン銀行の送金サービスの全世界向けネットバンキングおよびATM利用の場合は¥990となっています。1万円以下の送金の場合、送金手数料が送金額の10%以上を占める事態となります。これでは、手数料が高すぎて使えないですね。仮に、1円を送金したら、どうなるのか気になります。
為替手数料
新聞・テレビなどで目にする為替相場は「仲値」と呼ばれるものです。しかし、皆さまが実際に外貨を購入する際にに適用されるレートは、このレートではありません。為替手数料が加算されてきます。この手数料は、なかなか見えてきません。例えば、ウェスタンユニオンのHPには、以下のような記載があります。
1Western Unionは、通貨換算によっても利益を得ています。送金サービスを選択する際には、送金手数料と換算レートの両方を慎重に比較検討してください。手数料、外貨換算レート、および税は、様々な要因によってブランド、チャネル、および店舗ごとに異なります。手数料と換算レートは予告なく変更される場合があります。
出典:ウェスタンユニオン
では、一体、どれだけ手数料が上乗せされているのでしょうか?2021年5月26日時点の試算結果です。米国に、¥100,000送金すると入力した結果です。
送金手数料は掛かっていません。一方、為替手数料は、いくらかかっているのでしょうか?現時点でのJPY/USDの仲値は、0.0092でした。
つまり、今回のシミュレーションでは、為替手数料は掛かっていないことになります。
中継銀行手数料(コルレス手数料)
海外送金では複数の銀行を経由して振替が行われるため、中継銀行に支払う手数料がかかることがあります。コルレスとは、英語のCorrespondent から来ています。中継銀行は事前にはが分からないことと、中継銀行によって手数料が異なる点で、見えにくい手数料です。SMBC信託銀行のHPに、事例が掲載されています。中継銀行手数料がかからず、送金先に着金することもあります。
中継銀行によって異なるため正確な金額の把握は難しいものの、送金実績から以下の金額が確認できています。(2018年11月現在)
(1)米国宛USD建送金 USD10.00~
(2)ヨーロッパ宛EUR建送金 EUR20.00~
(3)英国宛ポンド建送金 GBP12.00~
リフティングチャージ
海外送金の際に、通貨の両替を伴わない場合に発生する手数料です。例えば、アメリカに送金する場合、日本でアメリカドルに両替し米国の受け手がアメリカドルを受け取る場合や、海外から日本円で送金する場合、海外で日本円に両替し日本の受けてが日本円で受け取る場合等に発生することがあります。海外に送金する際、受取先の銀行がリフティングチャージを掲載しているいることがありますので確認してみましょう。
送金限度額
海外送金サービスを提供している会社によって送金限度額は異なります。送金限度額が設定されている背景の一つに法の規制があります。日本には、海外送金に関する法律が2つあります。一つは、銀行法で、銀行等以外の者が為替取引業務(いわゆる送金業務)を行うことは禁止されております。もう一つが、「資金決済に関する法律」で、銀行等以外の者であっても資金移動業者として金融庁の登録を受けることにより、為替取引業務を行うことができることとなっております。「資金決済に関する法律」では、100万円の壁がありました。しかし、法改正により2021年5月1日から、送金額に応じて、100万円を超える高額送金を扱う事業者(第一種資金移動業)、100万円以下の送金を扱う事業者(第二種資金移動業)、および、5万円以下の少額送金を扱う事業者(第三種資金移動業)に分類されました。
規制緩和で100円以上の送金手段を提供する会社は多様化することを想像していたのですが、現時点では、残念ながら、100万円以上の送金を受け付ける資金移動業社は、見つけられていません。それ故、100万円を超える送金をするには、銀行のサービスを使うしかなさそうです。
海外送金サービスの比較表 (個人で米ドルを米国に送金する場合)
各海外送金サービスのメリット&デメリットを把握して使い分けが必要です。私が調査した範囲で、海外送金サービス比較をしてみました。皆さまの送金目的、送金額、送金先などによって最適な送金方法を使い分けてくださいね。
この比較表は、前提条件がないと作成できない為、個人名で米ドルを米国に送金することを前提として書いています。法人名で送金する場合、他通貨、他国への送金時には、条件が異なってきます。また、詳細情報を盛り込むと理解が難しくなるため、重要と思われる点に絞ってまとめています。
海外送金の手数料は、国内送金に比べて高額なので、少額で送るのではなく10万円以上になるようにまとめて送金するのが良いですね。私のお勧めとしては、100万円を超える送金は新生銀行、100万円以下の送金はWiseとなります。他国宛他通貨を送金する場合でも、まずは、新生銀行、Wiseあたりから検討しては如何でしょうか。
会社名 | オンライン完結 | 送金限度額 | 送金手数料 | 為替手数料 | コメント | お勧め |
新生銀行 Go Remit
| 〇 | 年間120万円を超える送金には書類審査あり。審査に通れば上限額は特に定められていない。 | 4000円 /新生プラチナステージの場合は、毎月1回は無料。
| プラチナステージの場合、USD1につき、0.07円 但し、事前に口座内で米ドルを買った場合。Go Remitで米ドルを買ってはいけない。 | 1000万円を超える送金であっても、オンライン完結できる。送金手数料は無料化できる。 | 〇 |
三菱UFJ銀行 | X (500万円を超える場合) | 書類審査あり。審査に通れば特に定められていない。 | 送金額や、窓口/オンラインによって、送金手数料が異なる。 海外他行宛500万円を超える送金の場合は窓口限定となり、7000円 | USD1につき、1円 | 外貨預金から外貨建て(同一通貨)で送金される場合、別途取扱手数料として送金金額の1/20%(最低2,500円)がかかる。 | △ |
SMBC信託銀行プレスティア (旧シティバンク) | X (500万円を超える場合) | 書類審査あり。審査に通れば特に定められていない。 | 7000円 /プレスティアゴールドステータスの場合は無料 | USD1につき、1円 | プレスティアゴールドの条件は、預入れ総額1,000万円以上。 | △ |
楽天銀行 | 〇 | 100万円/1回、かつ、500万円/年 | 750円 | USD1につき、1円 | 500万円を超える送金ができない。 | 100~500万円の送金で、かつ、新生銀行プラチナステータスが無い人向け。 |
Wise (旧 Transfer Wise) | 〇 | 100万円 | 745円 ※10万円の場合、Wiseサイトにて計算 | なし | 為替レート保証があり、送金申し込み後、48時間固定できる。 100万円までの送金であれば、銀行送金より、手配が簡単。 | 〇 |
Western Union | 〇 | 10万円 | なし ※WUサイトにて計算 | なし ※WUサイトにて計算 | 少額送金に特化している。 | 〇 |
マイナンバーの提示は必須
いずれのサービスでもマイナンバーカードの提示は必須です。
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