選択的夫婦別姓導入の反対を唱える自民党国会議員５０名が、都道府県議会議長のうち自民党系の約４０人に対して、選択的夫婦別姓の実現を求める意見書採択を挙げないように要請する文書を送付しました。この５０名の中には、現役の男女共同参画担当相、丸川珠代氏が名前を連ねています。この文面をめぐって、複数の問題点が指摘できます。
出典：埼玉県議会議長 田村琢実氏のブログ
丸川氏は２０２０年２月時点では、選択的夫婦別姓には反対していない
こちらのtwitterは、２０２０年２月１６日のものです。僅か１年足らずで、完全な方向転換をしています。選択的夫婦別姓が実現すれば、自身が指摘する丸川姓で公文書に署名できるのです。にも拘わらず、選択的夫婦別姓の実現を求める意見書採択を挙げないように要請する文書に名前を連ねる意図はどこにあるのでしょうか？
葛飾区自民・高木信明区議の区政報告会にて、中野区選出の丸川珠代議員@marukawatamayo がいらしてました。
選択的夫婦別姓について「2つの名前を使えるのは私は便利だと思ってますが、公文書に皆さんが投票して下さった丸川姓で署名できず戸籍姓必須はおかしいと思う」と力を込めてお話下さいました。 pic.twitter.com/x0cuADjYT1— nana/井田奈穂/選択的夫婦別姓・全国陳情アクション (@nana77rey1) February 16, 2020
丸川男女共同参画担当相の言動が他国の新聞紙上で取り上げられる異常さ
選択的夫婦別姓を否定しながら、ジェンダー平等と女性のエンパワメント推進は、相反する言動です。日本より厳しいジェンダー平等を掲げる国際社会から信条や見識を疑われても仕方がありません。事実、他国の複数の報道機関が丸川氏の言動を取り上げています。
イギリスBBC: twitterでも「名前は大塚珠代だが、普段は旧姓の丸川珠代を名乗っている。しかし、夫婦別姓には反対している。かなり混乱しています」と、矛盾が指摘されています。
Her name is Tamayo Otsuka, but she usually uses her maiden name Tamayo Marukawa. However she opposes allowing couples to have separate surnames. I’m quite confused. #LDPJ #TamayoMarukawahttps://t.co/Mn0CGJAGMF
— Youngdong Kwon (@kwondataeng) February 28, 2021
イギリスガーディアン紙：
Japan women’s minister opposes plan to allow keeping of birth names https://t.co/8JXhkpqJa6
— The Guardian (@guardian) February 26, 2021
香港蘋果日報：香港向けに報道されています。漢字を追うだけでも、個人の意見として夫婦別姓を反対していることが伺えます。
日婦權大臣反夫婦別姓立法
日本男女共同參與擔當大臣丸川珠代加入聯署反對就夫婦別姓立法。本身是執政自民黨參議員的丸川珠代稱，她的立場只是「個人意見」，不會影響現在推動女性權益的工作。
本月才接任男女共同參與擔當大臣和奧運大臣的丸川珠代，丈夫是自民黨眾議員大塚拓，她於法律文件上冠夫姓，職場上則使用原名。
出典：https://hk.appledaily.com/international/20210228/HBZLW2CKA5AMRE73YQZ4W2V3C4/
夫婦別姓反対の丸川男女共同参画担当相の言動を黙認する菅総理
３月１日の衆院予算委員会での、 立憲民主党、辻元清美委員からの質疑に対して菅義偉首相の答弁で、選択的夫婦別姓に反対する文書に名を連ねていた丸川珠代男女共同参画担当相について「政治家個人としてさまざまな意見を持つのは当然のこと」と述べ、「丸川大臣には政府の一員として遺憾なく能力を発揮してほしい」と回答しました。丸川氏が選択的夫婦別姓導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書に名前を連ねていることを黙認しました。
菅首相は２０２０年１１月6日の参院予算委員会で、選択的夫婦別姓請願の紹介議員として、同制度を推進する立場で議員活動をしていたことを認めた上て、「私は政治家としてそうしたことを申し上げてきたことには責任がある」と述べているのです。菅首相には、男女共同参画担当相の任命権者として、男女共同参画が遅々として進まないことに危機感はないのでしょうか。
この首相の周りには、信頼できる人というのがいないのかなぁ、 悲しい首相♪
夫婦別姓反対の丸川氏、「個人として様々な意見持つの当然」＝菅首相 – 記事詳細｜Infoseekニュース https://t.co/Lowfg8wueW— Caoyuanlang (@Caoyuanlang2) March 1, 2021
地方議会は国会の下部組織ではない
昨今、国と地方の主従関係をさせるような出来事が発生しています。五輪の聖火リレー中止に言及した丸山達也島根県知事に、地元選出の自民党の竹下亘衆議院議員がが「注意する」と述べる場面がありました。国会議員と県知事には主従関係はありません。どのような立場で「注意」するのでしょうか？国会議員の奢りがあると言えます。
時を同じくして、自民党の国会議員５０名の連名で、自民党所属の都道府県議会議長約４０人に、選択的夫婦別姓導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を送っていました。国会に対する意見書は、地方公共団体の議会は、地方自治法第99条の規定に基づき行われるものです。この法令に基づき、地方議会から、国会での選択的夫婦別姓の議論が求める意見書が、２０２０年１２月時点で、１７８件提出されています。それにもかかわらず、全国会議員定数710名の内、自民党所属国会議員の５０名の反対によって議論にすらなっていません。議員は、社会問題の解決を図ることが期待される中、選択的夫婦別姓の議論が求める意見書の存在を無視し、かつ、意見書が増えないように圧力をかけることは許されることではありません。文書に名前を連ねる議員５０名は、「地方議会は独立した組織であって、国会の下部組織ではない」、という認識をしていないようです。
