丸川男女共同参画担当相 夫婦別姓反対の書状に連名 【書状本文あり】

選択的夫婦別姓

丸川珠代男女共同参画担当相が、選択的夫婦別姓制度への反対を呼びかける書状に名前を連ねています。この書状は、2020年1月30日付で、埼玉県議会議長、田村琢実氏宛に送られた書面です。送付先は47都道府県議会議長のうち自民党所属の約40人。書面はどのような内容だったのでしょうか?内容を明らかにするとともに、反証を行います。

出典:田村琢実氏のブログ https://ameblo.jp/takumi-tamura/entry-12654450155.html

選択的夫婦別姓制度への反対書状の内容とは

【昨年来、一部の地方議会で、立憲民主党や共産党の議員の働きかけにより、『選択的夫婦別氏制度の実現を求める意見書』の採択が検討されている旨、仄聞(そくぶん、(人づて等によって)うすうす聞くこと。)しております。】という記述から、この書面は始まっています。しかし、東京都葛飾区、江戸川区等、自由民主党が、発議して採決している意見書が少なからずあります。何故、他の政党の名前を列挙して事実を歪曲するのでしょうか?

以下、5項目にわたり論点を列挙しています。

①戸籍上の「夫婦親子別氏」(ファミリー・ネームの喪失)を認めることによって、家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある。

書面上の同一氏の記載によって家族が成り立っているというのは、現実社会を見ていません。現在でも親子が別氏の事例は、ほぼ全世帯が体験しています。ほとんどの場合、婚姻に伴って女性は、男性の氏を名乗っている現実があります。婚姻とともに、女性方の両親との絆が無くなってしまうのでしょうか?日本人であればだれでもしっている漫画「サザエさん」の家庭は、家族として成り立っていないのでしょうか?

※「サザエさん」の家庭は、磯野姓とフグ田姓からなる家族です。

②これまで民法が守ってきた「子の氏の安定性」が損なわれる可能性がある。

離婚発生時に、子の氏は変更される可能性があります。子の氏の安定性が問題というのであれば、親の氏とは独立した氏の概念がないと、氏変更の可能性は無くなりません。論理矛盾しています。

③法改正により、「同氏夫婦」「別氏夫婦」「通称使用夫婦」の3種類が出現することから、第三者は神経質にならざるを得ない。

選択的夫婦別姓が制度として確立した場合、通称使用する必要性がそもそもなくなります。名前は個人に帰属する問題であり、第三者が物申す立場にはありません。自己の氏名について、なぜ、第三者を気にする必要があるのでしょうか?

④夫婦別氏推進論者が「戸籍廃止論」を主張しているが、戸籍制度に立脚する多数の法律や年金・福祉・保険制度等について、見直しが必要となる。

選択的夫婦別姓と戸籍の話を混同しています。選択的夫婦別姓は、必ずしも戸籍廃止に帰結するものではありません。現行法下でも、日本人が外国人と婚姻する場合、戸籍には別姓で記載することが可能です。また、日本人同士の婚姻でも選択的夫婦別姓が導入された場合、必要に応じて必要な法改正が求めらるのは当然で、且つ、それは国会議員の責務です。戸籍制度に立脚する多数の法律や年金・福祉・保険制度等について見直しが必要となるから、選択的夫婦別姓を導入すべきではない、というのは、付随する作業が発生するから面倒である、と主張しているのと変わりません。

⑤国民の意見が分かれている現状では、「夫婦親子同氏の戸籍制度を堅持」しつつ、「婚姻前の氏の通称使用を周知・拡大」していくことが現実的だと考える。

通称使用で少なからず問題が発生している為に、選択的夫婦別姓の必要性が訴求されていることを理解していません。「通称使用の周知・拡大」は、一歩国外にでると、全く理解されません。パスポートのICチップには、通称は入っていません。それ故、パスポート表記と、ICチップの内容に不一致が発生しており、渡航先の入国審査官には理解されない事象が多数報告されています。これは、パスポートを発行している外務省も認識している事実です。これでも、「婚姻前の氏の通称使用を周知・拡大」していくことが現実的なのでしょうか?

別名の併記は戸籍上の氏名に続けて、括弧書きで記載されますが、ICAO文書には規定されていない例外的な措置であるため、ICチップ及びMRZ(Machine Readable Zone)には別名が記録されません。このため、旅券面に別名が記載されていたとしても、査証及び航空券を別名で取得することは困難と考えられますので、御注意ください。
渡航先国での入国審査では、旅券のICチップ及びMRZに記録されている氏名、査証(ビザ)(米国のESTA等を含む)に記載された氏名、航空券に記載された氏名が照合されますので、これら3つの氏名は一致している必要があります。しかしながら、渡航先国の出入国管理当局等が、日本旅券の別名併記制度について十分に承知しておらず、旅券に括弧書きで記載された別名の意味が理解されない場合には、説明を求められることがあります。
そのような場合には、旅券の所持人御自身から旅券に併記された氏及び(又は)名について御説明いただく必要が生じますところ、都道府県の旅券申請窓口又は在外公館で配付しているリーフレット、又は以下にあります英語版資料を御活用ください。

引用:外務省 旅券(パスポート)の別名併記制度について

選択的夫婦別姓反対の書状に名前を連ねる議員はたった12.3%

選択的夫婦別姓が実現しないのは、自民党内の問題です。しかも、自民党の国会議員404名(衆議院議員278名、参議院議員126名)の内の50名、12.3%が反対しているにすぎません。なぜ、10数パーセントが反対しているだけで、まともな議論すらできないのでしょうか?自民党内では、民主主義が働いていないと言えます。

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